
会社が金融機関から事業資金の融資を受ける場合、担保物としてまず不動産が、次に保証人などが浮かびますが、不動産や十分な資産のある保証人がいない場合、その会社は融資が受けられず、いくら優れた製品や技術ノウハウがあっても、資金不足のためより競争力の高い魅力ある商品を開発、製造、販売することができません。
そこで、不動産や人的担保だけでなく、これまであまり担保の対象とされていなかった在庫商品や製造機械などの動産をも担保に活用することが注目されるようになりました。その方法の1つに「動産譲渡担保」があり、動産の所有権を債権者に譲渡して借入れを行い、債務を返済すれば動産の所有権が債務者に戻りますが、もし返済できなかったときは動産の所有権は債権者に移ってしまいます。
ただ、その動産を担保にとった側としては、その動産についての自社の権利を第三者に対して主張でき、その動産から融資分の回収ができなければ困ります。そこで東京法務局が管理する「動産譲渡登記ファイル」に記録(=登記)することにより、動産の譲受人である会社は、その動産の譲渡について引渡し(民法第178条)があったものとみなされ、第三者に対抗することができる、とされています。
その特色や注意すべき点は数多くありますが、まず、動産登記制度を利用できるのは動産の譲渡人が「法人」の場合に限られるということです。この制度は、企業が保有しているたくさんの動産を活用することで、スムーズな資金調達を可能にすることを目的として作られた制度だからです。この他に、譲渡の目的(担保目的譲渡か,真正譲渡か)に限られずに利用できること、対象となる動産は、個別動産でも集合動産でも、いずれの場合でも登記することが可能なこと、代理人(倉庫業者等)が動産を占有する場合も登記することができること、等々があげられます。 実務では、この制度の利用の大部分が「動産譲渡担保」となっています。

契約書作成報酬 | 金3万2400円(動産10個まで(税込)) 動産5個追加ごとに金3240円加算(税込) |
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登記申請 | 1件 金7万5600円(動産10個まで(税込)) 動産5個追加ごとに金1万800円加算(税込) |
登記事項証明書 | 1件 金1万800円(税込) ※郵送による登記申請の場合です。 東京法務局民事行政部動産譲渡登録課にて受付されるまでに2日程度 お日にちが掛かりますのでご注意ください。 当日窓口申請の場合は東京までの交通費及び日当が加算されますので、 お急ぎの際はご相談ください。 |
登録免許税 | 金1万5000円 但し、申請1件につき動産個数5000個以下の場合、租税特別 措置法による減税措置により金7500円(平成25年1月1日時点) |
個別事項証明 | 1通 金800円 |
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一括証明 | 1通 金800円~ 動産の個数が1個を超える場合、その超える個数ごとに 300円を加算 例)動産個数が2個の場合 1100円 5個の場合 2000円 10個の場合 3500 100個の場合 3万500円 |
登記事項概要証明書 | 1通 金500円 |
※登記事項証明書、住民票の取得や戸籍謄本の収集につき、別途報酬・実費がかかります。
※消費税については、平成26年4月1日時点の税率(8%)で計算しております。消費税の増加により税込報酬額は変更になります。
※実費を立替とする場合は、実費の一割程度を報酬額に加算させて頂きます。

動産譲渡登記の手続きの流れは以下のとおりです。譲渡担保を例に見ていきます。

- 動産譲渡担保契約書
- 設定者たる会社の印鑑証明書
(発行3ヶ月以内のもの) - 設定者たる会社の登記事項証明書
(発行3ヶ月以内のもの) - 担保権者たる会社の登記事項証明書
(発行3ヶ月以内のもの)
※担保権者が個人の場合は「住民票の写し1通」 - 登記用委任状(設定者・担保権者)
- 取下書
- 動産譲渡登記事項証明書取得用委任状
(設定者) - (設定者)1通
- 設定者たる会社の印鑑証明書
(発行3ヶ月以内のもの) - 設定者たる会社の登記事項証明書
(発行3ヶ月以内もの)

当事務所では具体的な登記手続事例はまだありませんが、お電話でお問い合わせいただくことが増えてきました。この制度に対する認知度は年々高くなってきておりますが、まだ多くの企業様が周囲の状況を見て、この制度を利用するかどうかをご検討されている段階なのではないかと思います。今後お手続が増えてくるのではないでしょうか。