
例えば、家が欲しいと思ったとき。
購入するのが、マンションか戸建てなのかという問題もありますが、こういった場合、他人から不動産を「購入する」場合がほとんどです。マンションも建物で不動産です。また、土地付の戸建を購入するのか、土地を購入し建物を建てるのかという流れが一般的になります。建物については、「保存」という名義を付ける登記がありますので、それは建物の登記の頁に譲りますが、この不動産を「購入する」というのが「売買」による名義変更です。
さて、不動産の登記には、登記義務がないということがあるのですが、では購入して登記をせずにそのままにしておくということを考えられるかもしれません。しかし、民法上、不動産の登記については「早い者勝ち」という制度があります。これは、登記を備えない事に対しての不利益は、自分で負担するという考え方です。
仮に、AさんがBさんに甲土地を売却したとします。
しかし、Bさんは登記を備えずにそのままにしていると、登記上の名義人は依然としてAさんままであることから、Aさんはこれを利用して、Cさんに不動産を売却してしまったという場合。
こういった場合を、「二重譲渡」と言いますが、後れて購入したCさんが、Bさんより先に登記をし名義を備えた場合、
先に購入したBさんは、Cさんに対抗できないということに法律上なってしまうのです。(対抗できないというのは、Cさんに対して自分の権利を主張できないということです。)
そして、BさんはAさんに対して損害賠償をするほかありませんが、Aさんにその損害を賠償する資力がなければ、Bさんは売買代金分損をすることとなります。この早い者勝ちという制度は、売買などの名義に限らず、担保の設定においても同様です。
このようなことがないよう、売買の取引においては、私たち司法書士が不動産の売買代金支払いなどの場面に立会いをすることがあります。不動産の名義変更に必要な書類に不備がないかを確認し、そして、売買代金を支払い、所有権が移転したとしたところで私たちが法務局へ急いで登記を申請することになるのです。
権利が移転したところから登記名義を備えるまでの間に、他の登記が入らないように迅速に行う必要があるわけです。その他、不動産の権利の移転は、
- 相続・遺贈(相続の頁に譲ります)
- 現物出資
- 贈与
- 代物弁済
- 財産分与
- 交換
などなど、様々な原因によって行われます。

名義変更の登記についても、登録免許税という税金が課せられます。この場合は、不動産の評価額を対象に、2パーセントの税金が課税されます。参考としては、1000万円の評価につき、20万円の税金がかかるということです。建物の売買などで、その建物が住宅用家屋である場合などに、証明書を添付すれば登録免許税が減税される取り扱いもあります。また、時限立法で減税される措置が採られることもあります(土地の売買で平成27年3月31日までは1.5パーセントなど)。
基本報酬 | 買主(権利取得側) 4万176円(税込) 売主(権利譲渡側) 1万800円(税込) |
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実費 | 登録免許税 50万円 |
※登記事項証明書、住民票の取得や戸籍謄本の収集につき、別途報酬・実費がかかります。
※消費税については、平成26年4月1日時点の税率(8%)で計算しております。消費税の増加により税込報酬額は変更になります。


- 登記済権利証 又は 登記識別情報
- 登記原因証明情報
- 印鑑証明書
- 司法書士への登記申請委任状
- 固定資産税評価証明書等
- 会社(法人)であれば、登記事項証明書
- 個人であれば、住民票
- 会社(法人)であれば、登記事項証明書
- 司法書士への登記申請委任状
※場合により上記以外の書類が必要になることがあります。

登記名義人であるAさんから、Bさんがマンションを購入する場合。仲介業者さんが入っている場合は、主なやりとりは仲介業者さんを通じて行いますが、一般的に、不動産の権利は、売買代金全額の支払いとともに移転する旨が契約書に盛り込まれることが多く、売買代金の支払いに私たちが立会い、売買代金完済をもって登記を申請します。
登記名義人であるCさんが、Cさんに対して不動産を贈与(あげる)する場合。通常の贈与であれば、必要書類等を集め、本人の意思確認をしてから登記申請となります。このような場合には、あまり立会が要求されることは多くありません。
離婚をした場合などで、不動産が財産分与の対象となっている場合は、その不動産の名義を、財産分与により変更します。
相手方に、何らかの代金支払義務などがある場合において、相手方の同意により、その代金の支払いに代えて不動産の権利を与えるということがあります。これにより支払義務が免れるか減少します。