遺産分割協議を経て行う相続登記において必要な書類は一般的には以下の通りです。
① 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・改製原含む)
② 被相続人の住民票の除票
③ 相続人の戸籍謄本
④ 不動産を取得する相続人の住民票
⑤ 不動産の評価証明書(固定資産税評価証明書など)
⑥ 遺産分割協議書
⑦ 遺産分割協議書に押印した実印の印鑑証明書
一般的には、上記書類が必要ですが、他に書類が必要となる場合があります。
どういった場合かというと、
不動産の登記事項は、所有者の「住所・氏名」であることから、
不動産の登記名義人の「住所・氏名」と、被相続人の「住所・氏名」がつながらない場合などです。
登記所においては、上記の記載とつながりがない場合「別人」として扱います。
それは、世の中に同姓同名の人がいることもあるわけですし、
仮に別人の同姓同名の人の不動産を、権限のない相続人に名義変更することは大問題となるからです。
氏名については戸籍謄本に記載され保存期間も長く、そう問題にはなりません。
よく問題となるのは「住所」です。
「住所」において、除票などを見ると、「従前の住所」が記載されています。
死亡時の住所、従前の住所、どちらかに登記名義人の住所が記載されていれば同一性を確認できます。
しかし、死亡時の住所にも、従前の住所にも記載がない場合どうするか。
また、さらに前の住民票を取得することになりますが、
住民票の保存期間は、現行法上5年ですので、住所移転などがあった場合に5年経過していると、
過去のものは取得できなくなってしまいます。
こういった場合は、戸籍の附票を使うことが多くあります(本籍地において取得できます)。
戸籍の附票は、本籍地を変更しない場合の住所変更について、変遷が記録されています。
その場合、そのうちに登記名義人の住所が出てくれば、同一人であることが確認できます。
しかし、戸籍の附票も保存期間が5年ですので、転籍(住所移転ではありません。)をしてから5年を経過すると、
その当時の附票は削除されてしまいます。
また、古くは本籍地でも登記ができたことから、戸籍上の本籍地に同一性が確認できる場合もあります。
最終的に、住民票や、戸籍の附票などにおいて証明できない場合は、下記の書類などを法務局に提供するのが一般的です。
・登記済権利証の写し
・評価証明書(上記⑤同様)
・不在籍証明書(そこに籍がないという証明)
・不在住証明書(そこに住所がないという証明)
・申述書(相続人が間違いないということを法務局に申述する書類)
積極的に本人の同一性を証明する書類ではありませんが、
登記済権利証があるということは、本人であるに違いないなど法務局にこのような書類を提供して名義変更することとなります。
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