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2014年06月30日夫の生命保険解約返戻金が差押られた場合など

保険は、
保険会社と保険契約者との間の契約によって、成立します。

 

生命保険などの死亡保険金などの保険受取人は、その契約で定められます。

 

ですので、保険というのは、保険会社と保険契約者の問題で、
その契約を解約することにょり発生する、解約返戻金は、保険契約者の財産と考えられます。

 

しかし、一般的に、保険金受取人が全く関係ないかというと、そういう訳でもありません。
夫が働き、妻が専業主婦という場合で考えてみると(今では一概にそのようには言えませんが)、
将来の万が一に備えて、
夫は妻を保険金受取人に指定して生命保険に加入し、
夫が亡くなるなどした場合、妻は収入がないため、その保険金をあてにすることとなります。

 

さて、このような場合に、

 

夫が何らかの事情により、債権者などから裁判を起こされ、
その裁判で負けた場合に、
当該生命保険契約を解約され、
解約返戻金を差し押さえられる、ということがあります。

 

この場合に、妻としてどのように対応することができるのか。

 

特に、夫がすでに病気などしていて、
同じ条件の生命保険に加入できないとしたら。

 

 

保険法では、60条1項において、債権者などからの解約通知は、
通知到達から1か月を経過すれば効力が生じるとされています。

 

この1か月の猶予の理由は、同条2項にあります。

 

上記のような、保険契約者と保険金受取人が異なる場合で、
保険金受取人が親族などである場合(保険契約者=保険金受取人はNG)、
「介入権」という権利を行使できる規定があります。

 

これは、上記の場合であると妻が介入権者となる訳ですが、夫の解約返戻金が差し押さえられると、
保険会社からその旨の通知が来ます。
また、その場合に「解約返戻金相当額」が記載されてくることになりますが、
この、「解約返戻金相当額」を、「保険金受取人」が、同法1項に定める期間経過前(1か月)に債権者に支払うことにより、保険契約の解約の効力を生じさせない(契約は継続する)、手続があります。

 

妻としては、非常に関心が強いことだと思います。

 

しかし、債権者がその解約返戻金相当額を受け取らない、債権者と連絡が取れないなどのような場合にどうするか。

 

方法としては、「供託」が考えられます。
しかし、「供託」といっても、どういう場合にでもできるというものではなく、供託できる理由が必要になります。
「受領不能」「受領拒否」「債権者不確知」が民法494条に定める一般的な事由に当りますが、
今回の場合、そもそも妻に「支払債務」が認められるのか、という問題になります。

 

夫の生命保険契約を継続するためには、解約返戻金相当額を支払わなければいけないわけですが、これが「債務」であるのか否か。

 

しかし、保険法では61条において、下記のような定めがあります。

~~~
第六十一条  死亡保険契約の解除により保険契約者が保険者に対して有することとなる金銭債権を差し押さえた債権者が前条第一項に規定する通知をした場合において、同条第二項の規定による支払の時に保険者が当該差押えに係る金銭債権の支払をするとすれば民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)その他の法令の規定による供託をすることができるときは、介入権者は、当該供託の方法により同項の規定による支払をすることができる。
 前項の通知があった場合において、前条第二項の規定による支払の時に保険者が当該差押えに係る金銭債権の支払をするとすれば民事執行法 その他の法令の規定による供託の義務を負うときは、介入権者は、当該供託の方法により同項の規定による支払をしなければならない。
 介入権者が前二項の規定により供託の方法による支払をしたときは、当該供託に係る差押えの手続との関係においては、保険者が当該差押えに係る金銭債権につき当該供託の方法による支払をしたものとみなす。
 介入権者は、第一項又は第二項の規定による供託をしたときは、民事執行法 その他の法令の規定により第三債務者が執行裁判所その他の官庁又は公署に対してすべき届出をしなければならない。
~~~

 

さて、重要なのは、1項になりますが、
ここで定める「保険者」とは、保険会社を意味します。

 

「同条第二項の規定による支払の時に保険者が当該差押えに係る金銭債権の支払をするとすれば民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他の法令の規定による供託をすることができるとき」

 

というのがどういう意味なのかということですが、
解約返戻金は保険契約者が、保険会社に対して有する債権ですので、この場合に保険会社は第三者債務者に該当します。

では、その場合の「供託をすることができるとき」とは、どのような場合かということになりますが、

 

保険会社は、第三債務者に該当するため、
民事執行法第156条1項に定める「権利供託」を利用することが可能となります。

更に保険法61条1項の趣旨は、
保険会社が供託できるときは介入権者(保険金受取人である妻)が供託できる、という規定になっています。
(ちなみに、同法2項は「義務供託」です。)

これにより、介入権者である妻は、保険会社が取り得る民事執行法156条1項に定める権利供託により、
この解約返戻金相当額を供託し、夫の保険契約を継続することができるということになります。

保険法第61条3項にあるとおり、この手続をとれば支払がされたものとみなされます。
また、同法4項に定める執行裁判所などへの届出を忘れないようにしましょう。

 

注意点としては、1か月という期間は、それほど長くはないです。
手続諸々に時間はかかりますので、迅速に対応した方が良いと思われます。
以上のような、「供託」手続についての代理業務も司法書士の業務なのですが(あまり知られていませんが)、

 

最近扱った案件は、
解約返戻金が取立債務ということで、
名古屋に当該支払ができる支店がないため、
東京本社が解約返戻金の取立債務の支払地となってしまい、
東京の法務局に供託することとなりました。f

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